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romeのsupermarket


ローマには日本に有るようなデパートは存在しない

ここに行けば衣食住なんでも揃う複合施設というようなものは無く、

日本でいう商店街のような意味合いの、歩行者用道路ガレリアがあるくらいだ。


異例中の異例としてrome三越が日本人観光客相手に建てたのがあるくらいだ

その歴史あるrome三越も2021年に46年の歴史に幕を下ろしたのだった。


イタリアという国は、昭和初期の日本のように塩を売る権利 タバコ屋の権利などが

今も残っている国だ

それぞれの小売商いが権利によって保障され、平衡を保っている

ビッグビジネスを求めて、はるばるromeの街にやって来たとしても、権利という壁に阻まれ早々に諦めてしまうのが常だった

年金の役割として販売の権利を行使し、時には抑止力として役割を担う権利を早々手放す

人はいない

たまに出回ってくる権利の値段は、1千万とかそれ以上という噂も聞こえてくる。


会社の近くVia Cavourには2軒のチャイニーズ・レストランが並んで経営していた

私たち日本人スタッフ達がよく行くチャイニーズ・レストランは手前の寿司を握る方だった

もう一軒は行ったこともなく、何が売りなのか全くわからなかった

当時のヨーロッパは空前の寿司ブームで、人気は寿司を握る店に軍配が上がっていた

味の方もびっくりするくらいのクオリティーで、特にサーモンは絶品だった

私が仕事で2回目romeに渡航した時、

よく行く寿司を売る方のチャイニーズレストランが、権利の更新を忘れたとかで

潰れてしまっていた

しばらくしてもう一軒のチャイニーズレストランが買収し、2件の経営を始めた

繁盛してても潰れる時は潰れるのだ

近所では、多分マフィアの力を使って更新の妨害をしたんじゃないのか

といった噂が流れていた


いつもいつもチャイニーズ・レストランで食事するわけにもいかない

休みの日に1週間分の食事を買い出しにスーパーマーケットへ行く

防犯上、出口と入り口は必ず分かれている

間違っても入り口から出ることはできないし

また、出口から入店する事は防犯上できないようになっている。


買い物カゴを持って、真っ先に向かう先はビール売り場だ

ヨーロッパ中の名の知らないビールを眺め尽くす

やっぱりイタリアのビールが格段に安いのがわかった

モッレティ、ナストロアズーロ、ペローニ

350ml缶は冷えてなければ、1缶50セントだった

6缶パックを2個カゴに入れて、次は野菜売り場へ行ってみる

見たことにない不思議な色をした野菜たちがゴロゴロしていた

もちろんパック詰めになんて、されていない 

見繕ってカゴに放り込んで移動する

魚はべらぼうに高いので通り過ぎるだけ

反対に肉は安く、週に一度は豪勢にステーキを食べることができた

ハムやチーズの専門ブースは、言葉が通じず買い物することはなかった

ブース前にハムの特売カゴを漁ってると

ミラノ産のハムに向かって罵声を浴びせてる若い女の子がいた

イタリアは統一されて150年とまだまだ若い国なのだ、建国されるまで小競り合いが

絶えなかったという話もある

実は仲が悪いと聞いてはいたけど、ローマっ子の本音が聞けた瞬間でもあった。


だいたい必要なものは揃ったところで、レジに並ぶ

郊外のスーパーで東洋人は私だけだった

空いてればすんなり会計が済むのだけど、混んでるとイライラの矛先が私に向かう時がある

言葉は解らないが、東洋人がいるからレジが混んでるんだ!今日はツイテナイ!

ネイティブの酔っ払いイタリア人はこんなものだった

私は極力混んでる時を避けてレジに並ぶことにしている

全く勝手が分からなかった当初、

レジに向かうと高校を卒業したばかりだろうか

若いレジ打ちの女の子が私に向かってしきりに話しかけてくる

何を言ってるのかさっぱり聞き取れない

剛を煮やした彼女は、勢いよくレジを飛び越えどこかへ消えていった

しばらくして戻ってくると、彼女の手に袋詰めされた野菜の袋に値札が付けられていた

その様子を見て、やっと彼女の言ってることを理解したのだった

スーパーで売られてる野菜類は裸のまま置かれていて

その横に測りとビニール袋が吊られているのだった

欲しい分袋に詰めて量を測ると、値段が印字されたシールが出てくる

それを自ら袋に貼って、レジへ持っていくというシステムだった


またある時、石鹸を切らしたのでスーパーへ買い物に行くと、

日本で見たこともない石鹸が売られていた

「さすがは、デザイン大国だ 形がかっこいい!」とレジへ持って行く

するとレジ担当の女の子たちが集まって、大声で笑い出した

何がそんなに可笑しいのか不思議だったが、気にしないで帰って使ってみた

そうすると、とんでもない粘着力で石鹸でないことがやっと理解できた

大笑いされたその原因、

石鹸の正体は、なんと超ハードなブラジリアンワックスというオチだった。





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Takuji Otsuka|アート、写真家、コンセプチュアルアート、20世紀写真

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