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The garden after that

コンセプチュアル・アートブック作品

「My precious one」を制作するにあたって、

晩年、母が生き甲斐として花を育てた我が家の庭が気になってきました


アルバムに収められた花の写真はけなげで永遠と瞬間が重なり合っています

写真の裏には母の言葉が添えられそれは孤独な営みであり無防備な人間くさい部分です

目に見えるものから目に見えない何かを問う作品ということは つまり

個の実感と体験を抜きに語ることはできないと思い始め、その小さな種だったものが

発芽し、逞しくまるで植物のようにみるみる育ってしまいました



帰省の準備をしてた矢先、2018年9月6日北海道胆振東部地震の大停電が発生したのですが

この地震による大規模停電は日本で初めての出来事です

東部地震は厚真町で最大震度7を記録し、地震による死者・住宅全壊などの被害が発生した

ニュースが流れた時は目を疑いました

宗谷地方の状況を問い合わせてみたところ

「ブラックアウト」は道内全域に及んでるということです

広範囲・エリア全域に及ぶ大規模停電は50時間後に問題を99%解消したと

その後のニュースで流れ始めたので、計画を取りやめることなく帰省することにしました



成田空港から出てるLCCに乗り千歳空港に到着しました

今回20年ぶりに札幌で友人と会う約束をしたので札幌で一泊します

翌日は寝過ごしても自由度が高く本数が多い都市間バスに乗り稚内に向かいました




年老いた父親には一言も告げず今回の帰省ということで北防波堤ドームのあるフェリー乗り場付近の民宿に3泊することにしました




地元で生まれ育った人間が観光客として認識され滞在するのは不思議なイニシエーションを感じます


しばらくぶりの稚内ですが海岸に面しているため相変わらずの強風です

巻き上がる風を避けてバスに乗り我が家に向かうことにしました

懐かしい風景が目に飛び込んできます



緑循環バスを降りて大谷高校の坂を登りました

幼少時代母とこの坂を登った記憶が鮮明に蘇ってきます

私が生まれた年代にこの辺の山を削って新興住宅団地の開発が進んだのでした

我が家は住宅地のちょうど中間の区画に立っています

 

碁盤の目と同じく交差する十字路を何度も過ぎて我が家に到着したのでした


すると、かつて母が何十年もかけて育てた山桜の木がまるで野生児のようにたくましく

育った姿が真っ先に目に飛び込んできました

それまで全く気にも止めなかった桜の木に強烈な矛盾と驚きを感じると同時に

情熱的で叙情的な戦慄が現出したのでした



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Takuji Otsuka|アート、写真家、コンセプチュアルアート、20世紀写真

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